なぜ古代世界には「去勢」という風習があったのか？

クラウディアヌスは、古代アレクサンドリアの天文学者プトレマイオス（2世紀前半に活躍）の愛人だったエウトロピオスを例に挙げ、年老いた宦官の恐るべき末路を示した。

「いまや彼の肌は年とともにたるみ、干しぶどうよりもしわだらけの顔は、両頬にあるしわのせいで陥没している。（中略）蒼白で骨と皮ばかりの姿は、彼の主人らの心に嫌悪の情をかき立て、不快な顔色と痩せこけた身体は接触する者すべての気分を害し、子供を怖がらせ、食卓を共にする者をうんざりさせ、仲間の奴隷らを侮辱し、会った者らを凶兆でゾッとさせた……それからついに、彼らは彼を、煩わしい死体か不吉な幽霊のごとく家々から追い出したのだ」