大阪のおばちゃん「幸せを求めて信仰するのが宗教なのに、うちは全然幸せじゃない。だから私はムスリムになった」

目覚まし時計の音で目を覚ますと、外はまだ暗い。決まった方向に向かって礼拝する時間だ。そして、父のことを思う――。

大阪に暮らす女性（32）は、そんな生活を始めて1年以上経つ。イスラム教に改宗してからだ。

両親はある新興宗教の熱心な信者だった。「道場」と呼ばれる施設で出会って結婚したらしい。

「お参りをしなさい。罰が当たる」。これが父の口癖だった。

小学生だったある日、足にけがをして帰った。すると母は言った。

「ご先祖が怒っているのよ。神様に謝りなさい」

なんで私が悪いの――。

貧乏な家庭で、夫婦仲も良くなかった。

父は小さなことですぐ怒鳴る人だった。部屋が汚いと、母に向かって怒鳴り散らしていた。

「幸せを求めて信仰するはずなのに、うちの家庭は全然幸せじゃない」

幼心に、そう感じた。

https://www.asahi.com/sp/articles/ASQDX5R21QDJPTIL00T.html?iref=sp_new_news_list_n

自由に生きたい。宗教が足かせだと気づいた。

信仰の証しとして、金のお守りを持っていた。肌身離さず首にかけていたが、手放した。２０歳の時だ。

「はずしたら何が起きるかわからない」。親から言われていた。手放して初めて外出した時は、本気で死を覚悟したくらいだ。

ダンス教室に就職し、大阪で一人暮らしを始めた。

　＊

２０２０年末、大阪・ミナミのカフェで、日本とパキスタンの血をひくムスリムの若い男性に出会った。彼はいきなり聞いてきた。

「宗教持ってる？」

宗教に苦しめられ、壁を感じていた。「神様は自分自身だよ」。そんな風に答えても、否定せずに話を聞いてくれ、彼は続けた。

「僕は家族が大好き。イスラムは家族を大事にする。だから、僕の人生とイスラムはセットなんだ」

目を輝かせながら語る姿に胸を打たれた。信じるものがある人は強いんだ、と４歳年下の彼に思った。

２１年春、３１歳の誕生日。父が自殺した。

やっぱり創価学会だろうか？
キリスト教系の団体で修行の場に
道場という言葉は使わないだろうし……。