「麻薬船」への追加攻撃について、トランプさんとヘグセスさん「私は知らないし関与していない。海軍司令官が勝手にやったことだ」

（CNN）　トランプ米大統領とヘグセス米国防長官は2日、カリブ海で麻薬密輸の疑いのある船舶に対し追加攻撃を行う決定から距離を置こうと試みた。最初の攻撃で乗組員全員が死亡しなかった後、米軍がどのような行動を取ったのかについては把握していなかったと主張した。

閣議でトランプ氏は記者団に対し、事前に連絡を受けておらず、攻撃から数カ月が経過した現在も状況に関する十分な説明は受けていないと述べた。

「私は2回目の攻撃については知らなかった。関係者についても何も知らなかった」「私は関与していなかった。彼らが船舶を排除したことは知っていたが、この点は言っておきたい。攻撃を行ったのは彼らだ」（トランプ氏）

トランプ氏はさらに、状況について常にヘグセス氏から報告を受けていると示唆。9月に実施された当該の攻撃にヘグセス氏は「満足」しているとも付け加えた。

しかしヘグセス氏も、生存者に対する攻撃への直接的な関与を否定。フランク・M・「ミッチ」・ブラッドリー海軍大将に作戦上のすべての決定権を与えていたと述べた。2回目の攻撃については数時間後まで知らなかったと付け加えた。

トランプ氏とヘグセス氏は共に、ブラッドリー氏の行動は正当であり、政権の法的権限の範囲内だと擁護。ヘグセス氏は政権がブラッドリー氏を「支援する」と約束した。

2度目の攻撃の責任を米特殊作戦軍司令官のブラッドリー氏だけに負わせようとする動きがみられる中、与野党の議員は攻撃の合法性に関する厳しい追及を進めている。中には2度目の攻撃について、戦争犯罪に相当すると示唆する向きもある。トランプ氏は以前、「2度目の攻撃など望んでいなかった」と述べていた。

ヘグセス氏の2日の発言は、攻撃直後の時点で説明していた内容に疑問を生じさせるものでもあった。同氏は当初、FOXニュースで「私は生中継で見ていた。あの船に誰が乗っていて、何をしているのか、我々は正確に知っていた」と述べていた。

上院軍事委員会の委員長を務める共和党のロジャー・ウィッカー上院議員は、9月にワシントン・ポスト紙とCNNがカリブ海で麻薬密輸船とみられる船舶への追加攻撃で軍が生存者を殺害したと報じたことを受け、意思決定を「厳格に監視する」と誓約した。委員会はその後、調査の一環として、攻撃の音声と映像の完全な提供を求めている。

民主党はかねて、トランプ政権のカリブ海での作戦を無謀かつ不当だと批判。麻薬密輸船とされる船舶に関してトランプ氏が語る脅威には誇張があり、現行のような軍事行動を正当化する証拠はほとんど示されていないと主張している。米軍によるこれまでの攻撃では数十人が死亡している。

トランプ氏は2日、カリブ海における政権の大規模作戦を繰り返し擁護。麻薬密輸人への対抗措置として必要だと強調した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/31fca764ba8c284d03490d27b761c57825f605b4