彡(゜)(゜)「ワイは菅野直。日本帝国海軍の撃墜王や」

サムネイル
1 : 2024/05/12(日) 15:19:32.51 ID:yYfQbego0
卒業式
(`四´)「しっかりやれよ」
彡(゚)(゚)「まかせい!」

(`四´)……
(`四´)「菅野のこと頼んだぞ」

(´・ω・`)「任せてください」

こうして鬼と呼ばれた四年生たちは訓練艦八雲にのって
戦場へ向かっていった

よくも偉そうに雑用ばかり押し付けやがって……
いなくなって清々した

(´・ω・`) .。oO(と思う反面)
なんだかんだ色々あったけど
しっかりと言葉で教育しよう心がけていた紳士的でよい先輩方だったと思う

2 : 2024/05/12(日) 15:20:47.47 ID:yYfQbego0
(`3´)「四年が殴らなかったから、お前たちは軟弱になった」
(`3´)「これからは俺たちが鍛え直してやる」

と豪語している新四年と比べれば本当にいい先輩方だった

(´・ω・`)「ボクたちが最上級生になったら……」
(´・ω・`)「極力、暴力は振るわないようにしようね」

彡(゚)(゚)「せやな」

二年後
彡(゚)(゚)「ワイらはついに鬼の四年になった。これからは……」
彡(^)(^)「ワイの天下や!!!」=◯)` 0゚)∵

(ꐦ`•ω•´)「コラァ!!なに初っ端から暴力ふるってるの!!」

彡;(゚)(゚)「しまった……つい……」
( ;´-ω-` )「はぁ……」

(;´・ω・` )「殴られて育つとそれが当たり前になっちゃうよね……」
(;´・ω・` )「いやな負の連鎖だよ……」

3 : 2024/05/12(日) 15:21:19.59 ID:yYfQbego0
今日は待ちに待った、飛行訓練実践編だ
窮屈な学校から離れられる上に、飛行機にまで乗れるのだ
みんなルンルンでウキウキだった

ボクたち訓練生が乗る練習機は
片翼式九○式二号機上作業訓練機と呼ばれるもので
一機に複数人が乗れることができる

そして、ボクとチョクは共に小川中尉の下で指導を受けることになった
(メ●灬●)←この小川中尉は歴戦の戦闘機乗りだった

4 : 2024/05/12(日) 15:21:45.14 ID:yYfQbego0
小川中尉は訓練前に武勇伝を語った
その内容はすさまじかった

中尉は中国の飛行場を襲撃して大いに戦果をあげた
だが、敵の戦闘機がまだ残っている状況で弾丸を撃ち尽くしてしまった
このような時、普通なら仕方ないと引き返すだろう
しかし、中尉は違った

なんと!そのまま敵飛行場に着陸して乗機から降り
敵の戦闘機に火を点けるなどして大いに暴れ回ったあと
再び空に舞い上がり、帰投したのだ
破天荒にもほどがある

でもその後
「なに危険なことしとんのじゃ!無事だからよかったものを……」
「それに戦闘機を敵に奪われたらこっちの機密情報が漏れるやろ!」
と軍上層部から注意を受けこのような行為は禁止されたようだ

(#●灬●)「だから君たちは決してマネしないように」

(´・ω・`) .。oO(誰がするかよ!)
と思うボクの横でチョクは

彡(゚)(゚)「はえーすっごい」
と感心していた

5 : 2024/05/12(日) 15:22:19.83 ID:yYfQbego0
(#●灬●)「よし!これより訓練を始める!」

(´・ω・`)ゞ「はっ!」
彡(゚)(゚)ゞ「はっ!」

こうしてボクたちは空に舞い上がった
眼下には美しい瀬戸内海が広がっていた

(´・ω・`)「右三十度、十海里……綺麗な海が広がってます」
彡(゚)(゚)「的角右八度、距離千五百……船に乗った漁師が手をふってるで」

(´・ω・`)「偏流を計ります、ヨーソロ」
彡(゚)(゚)「偏流角右五度」

(´・ω・`)「着陸準備!後方よろしい」
彡(゚)(゚)「着陸方向S」

このようにしてボクたちの五日間にわたった
後半に操縦桿を握り自分で飛行機を操ることもできた
そしてあっという間に航空実習は終わった

6 : 2024/05/12(日) 15:23:01.01 ID:yYfQbego0
(#●灬●)「うむ!二人とも航空機乗りの素養がある」

(#●灬●)「笹堀くんは、丁寧な操縦と常に周りを見る警戒心が優れている」
(#●灬●)「菅野くんは操縦こそ荒いが、その度胸は目を見張るものがある」

(#●灬●)「では、訓練はこれで終了だ」
(#●灬●)「お疲れさん」

(´・ω・`)「ありがとうございました」
彡(゚)(゚)「ありがとうございました」

7 : 2024/05/12(日) 15:23:33.20 ID:yYfQbego0
ある日、兵学校卒業後の進路アンケートが実施された

進路先として戦艦や駆逐艦といった船の砲術士や航海士
戦闘機乗りになる海軍航空隊
変わったところで潜水艦の乗員というのもあった

彡(゚)(゚)「ワイは航空隊を志望するわ」
(´・ω・`)「お、奇遇だね、ボクもそのつもりだよ」

彡(゚)(゚)「なんや?ワイのマネかいな」
(`・ω・´)「違うやい。ちゃんとしたボクの気持ちさ」

(`・ω・´)「その証拠にふつうなら希望先に『望』と書くのを……」
(`・ω・´)「ボクなんて『熱望』ってしたんだから」

8 : 2024/05/12(日) 15:23:53.32 ID:yYfQbego0
彡(゚)(゚)……
彡(゚)(゚)カキカキ

彡(゚)(゚)「ふん!ワイなんて『超熱望』にしたわ」
(`・ω・´)「書き足すなんてずるいじゃないか!」

(`・ω・´)「ならボクだって……」カキカキ
(`・ω・´)「どうだ!『白熱的大熱望』だ!」

彡(゚)(゚)「ぐっ……」カキカキ
彡(゚)(゚)「ならワイは……『太平洋海戦的熱望』や!」

(`・ω・´)「それならボクは……」
彡(゚)(゚)「ほんならワイは……」

この後、教官に「ふざけるな!」と怒られたが
ボクたち二人は無事に航空隊へと進めることになった

9 : 2024/05/12(日) 15:24:50.72 ID:yYfQbego0
そして、ついにボクたちも卒業の時がきた

卒業式
( ¯灬¯ )「答辞、卒業生代表。平柳くん!」
(`四´)「はい!」

彡(゚)(゚)「あの平柳くんが……(`0´)→(`四´)」
彡(-)(-)「立派になったもんや」

(`四´)「……ボクは軍人とは憧れを持たれるような職業ではないと思う」

ザワザワ

(;´・ω・` )「え?急になにを言い出すの?」
(;´・ω・` )「軍幹部のお偉いさんもいるのに……」

彡(゚)(゚)「まあ、最後まで聴こうや」

10 : 2024/05/12(日) 15:25:28.28 ID:yYfQbego0
(`四´)「軍人とは一部の者だけが使命とすればそれでよい」
(`四´)「ボクたちはこれから海へ出て戦う……」

(`四´)「だがそれは……ボクたちに与えられた使命であり!」
(`四´)「市井の人々に押し付けてよいものではない!」

(`四´)「市井の人々が、それぞれ自分の意志を貫ける……」
(`四´)「ボクは日本という国がそういう国であって欲しいと願う」

(`四´)「以上!海軍兵学校第70期代表 平柳 育郎」

(´・ω・`)「このご時世、軍批判と思われるかもしれないことを……」
(´・ω・`)「ああも堂々と言えるなんてすごい勇気だね」

彡(゚)(゚)「さすがワイらの代表やな」

( ¯灬¯ )「卒業写真を撮るから並びなさい」
『はーい』

パシャ!
彡(゚)(゚) (´・ω・`)`四´)`四´)`四´)`四´)`四´)`四´)

これがボクたち海軍兵学校第70期生 約400人
全員が揃った最後の写真となった
こののち戦争によって282名の級友が戦死することになる

11 : 2024/05/12(日) 15:26:45.93 ID:yYfQbego0
少し休憩
12 : 2024/05/12(日) 15:39:17.98 ID:yYfQbego0
昭和十六年十二月八日午前六時
霞ヶ浦飛行場

彡(-)(-)Zzz……Zzz……
(。゚ω゚)「チョク!!大変だよ、起きて!!」

彡(゚)(゚)「ん?どうしたんや?」
(。゚ω゚)「山本五十六長官が率いる……日本帝国主力海軍が……」

(。゚ω゚)「アメリカ…に宣戦布告……」
(。゚ω゚)「ハワイ諸島を攻撃したみたい……」

彡;(゚)(゚)「ファッ!まじかいな!!」

彡;(゚)(゚)「それで……どうなったんや?」
(´^ω^`)「大勝利したみたいだよ!!」

彡;(゚)(゚)「ファッアアアアアアアアアアアア!」
彡(^)(^)「やったやんけ!!」

13 : 2024/05/12(日) 15:40:01.95 ID:yYfQbego0
彡(゚)(゚)「……ん?」
彡(゚)(゚)「なんでそんな大事な戦にワイらは呼ばれてないんや?」

(;´・ω・` )「あっ……本当だ……」

彡()()「カァアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
彡(●)(●)「一世一代にあるかないかの大戦に参加できんとは!!!」

彡;(゚)(゚)「なんたる不覚や……」

それからも日本帝国海軍の戦勝報告は続いた
華々しい戦果が次々と届いた

だが、ボクたちには出番らしい出番はなかった

14 : 2024/05/12(日) 15:40:27.81 ID:yYfQbego0
彡;(゚)(゚)「なんでや!なんでワイらにはお呼びがないねん!!」
(;´・ω・` )「まあまあ、今は辛抱のときだよ……」

(´・ω・`)つ「ようかんでも食べて気長に待とうよ……」
彡(゚)(゚)「……まあ、それもそうやな」

この時、ボクたちは……いや、日本国民全員が勝利に浮かれていた
超弩級メリケン国家アメリカにケンカを売ったその意味を知っていたのは
おそらくごく少数だったに違いない

15 : 2024/05/12(日) 15:41:07.59 ID:yYfQbego0
ボクたちが霞ヶ浦飛行場に派遣された
そこで待っていたのは座学だった
すぐに戦闘機に乗れると思っていただけにガッカリだ

そんなわけで気晴らしにチョクと近くの町を歩いて回った

彡(゚)(゚)「お!写真館があるやんけ!」
彡(^)(^)「せっかくやし撮ろうや」

(;´・ω・` )「えー君は制服でバシッと決めてるからいいけど……」
(;´・ω・` )「ボクは私服だからイヤだよ……」

彡(゚)(゚)「ワイのを貸したるさかい行こうや」
彡(゚)(゚)「ワイらはいつ死ぬか分からんのやから」

彡(゚)(゚)「形あるものを残すのは大事やぞ」
(´・ω・`)「それもそうだね……」

パシャ!
こうして撮った写真は後の世にも残ることになる

(´・ω・`)「あ!ポラロイドカメラだ」
(´・ω・`)「買っちゃおっと」

16 : 2024/05/12(日) 15:41:42.16 ID:yYfQbego0
三か月後
ついに待ちに待った飛行実習だ

(´・ω・`) .。oO(実習といっても真剣そのもので……)
一瞬、一瞬がこれすべて戦闘だった

たいした時間を飛んだわけではないのに
地上に降り立つと顔中がほてって眠たくなった
そしてお腹もすごく減る

でも、次第に操縦に慣れ始めると
四方の景色を見る余裕もできる
天気がよければ東京湾越しにあの名峰富士も見ることが出来た

17 : 2024/05/12(日) 15:42:04.10 ID:yYfQbego0
二か月後

(´・ω・`) .。oO(この時期になると……)
離着や平行飛行ぐらいならもうマスターできていた
でも、飛行訓練の本番はここからだ
ここから先は特殊飛行と呼ばれ
垂直旋回、宙返り、失速反転、急反転、横転といった
アクロバットな飛行を身につけていかなければならない

このような特殊飛行をするにはいろいろと複雑な操作に加え
体にすさまじいG(重力)がかかるので肉体的疲労も大きなものになる
あのタフなチョクでさえ

彡(×)(×)「あーへばった……目がくらむ……」
と参っていた

18 : 2024/05/12(日) 15:42:47.49 ID:yYfQbego0
ある日、二人乗り戦闘機にチョクとペアで飛んだときのこと

(´・ω・`)「チョク、そろそろ帰る時間だよ」
彡(゚)(゚)「……同じとこばっか飛んでつまらんな」

彡(゚)(゚)「せや!ちょっと東京上空を遊覧しようや!」
(;´・ω・` )「え?なに言ってるの?」

(;´・ω・` )「そんなことしたら規律違反で処分されるよ」
彡(゚)(゚)「ばれなければ問題は問題にならん!!」

(;´・ω・` )「無理だよ!東京に行って帰って来る時間はないよ!」
彡(゚)(゚)「んなもん、エンジンをフルスロットにすればええだけや!!」

彡(●)(●)「行くで!!」ギュン!!
(。゚ω゚)!!

19 : 2024/05/12(日) 15:43:11.83 ID:yYfQbego0
ガタガタガタガタ
(。゚ω゚)「あわわわわ」

エンジンを全開にしたから機体が震えてるよ

(。゚ω゚)「チョク!少しは加減しようよ」
彡(゚)(゚)「飛行機ってのは最大限まで性能を活用せんといかんのや!!」

彡(゚)(゚)「お!東京や!!」
彡(゚)(゚)「タケ!どこを見にいきたい?」

(。゚ω゚)「そんな場所ないから早く帰ろうよ」
彡(゚)(゚)「なんや、せっかく来たのにつまらんな」

(。゚ω゚)「っていうか下手に飛び回ってたら不審機として迎撃されない?」
彡;(゚)(゚)「アカン!それはまずい」

彡;(゚)(゚)「さっさと帰るで!!」

でも、この時
日本帝国にはそんな余裕はなかったかもしれない

昭和十七年六月七日 
ミッドウェー海戦においてイケイケドンドンだった日本は
アメリカに敗北していた

20 : 2024/05/12(日) 15:43:50.40 ID:yYfQbego0
昭和十八年二月一日

訓練を終えたボクとチョクは大分航空隊に配属された
ボクたちは岩下教官(⌐●ゝ●)の下で実戦訓練をすることになった

この段階になると実戦さながらの空戦を体験することになる
教官VS訓練生一対一でのバトルの始まりだ

空戦では高所をとった者が有利になる
だが、そのハンデを貰っても負けるのだから
技量の差が圧倒的であったことがうかがえる

ボクと同じようにチョクも戦う度に必ず敗れた

(´・ω・`) .。oO(ボクなんかは…)
相手が教官なんだから、負けて当然じゃないかという気持ちが強く
あまり敗北して悔しいとは思わなかった

21 : 2024/05/12(日) 15:44:22.12 ID:yYfQbego0
(´・ω・`) .。oO(でも、チョクは違った…)
彼は負けるたびに本気で悔しがった
そして、なんとか教官にも勝つ方法がないものかと必死に頭を捻っていた

正直……そんな方法はない

教官は“ひねり込み〟という技を使っている
この技は一部のエースパイロットにしか使えない必殺技だ
この技を使われると、瞬時に機体を見失ってしまい
気づけば真後ろにつかれている

もちろんボクたち訓練生にはできっこないし、攻略法もない

(´・ω・`) .。oO(それでも、チョクは諦めなかった……)
そして、なにか閃いたようだった

彡(゚)(゚)「この方法しかない……」

22 : 2024/05/12(日) 15:45:19.75 ID:yYfQbego0
ある日
彡(゚)(゚)「教官、一戦よろしいでしょうか」
(⌐●ゝ●)「いいだろう、では先に飛んで高所をとりたまえ」

彡(゚)(゚)「いいえ、ハンデなしでお願いします」
(⌐●ゝ●)「……わかった」

彡(゚)(゚)「それと……本気できてくだい」
(⌐●ゝ●)「…………いいだろう」

(;´・ω・` ) .。oO(なにを思いついたのか分からないけど……)
本当に大丈夫なのかな?

こうして岩下教官VS訓練生チョクの空戦が始まった
二人は空に舞い上がり距離をとった
そしてお互いにさぐりを入れつつ向かい合う

バトル開始だ

23 : 2024/05/12(日) 15:45:47.31 ID:yYfQbego0
模擬戦ではまずできるだけ相手を目掛け接近していく
そして、あるていど距離が縮まると互いに反対方向に切り返すのがセオリーだ
でも、このときは違った

チョクはどれだけ距離が縮まろうと避けようとしなかった
(。゚ω゚) .。oO(このままじゃ正面衝突だ!!)

(;⌐●ゝ●)「ぐっ……」
教官が機体をそらし衝突を避けた

彡(•)(•)「今や!!」
チョクはその僅かな動きで生じた隙を見逃さなかった
すかさず教官の後ろをとった

(;´・ω・` ) .。oO(すごいけど……)
いくら後ろを獲ったからといっても教官はひねり込みで
この状況をあっという間に巻き返してくるに違いない
そうなれば、逆に後ろをとられることになり……

ゲームオーバーだ

24 : 2024/05/12(日) 15:46:08.12 ID:yYfQbego0
彡(●)(●)「ぐぬぬぬ、ここが勝負所や!!!」ギュン!!

チョクの乗る機体がスピードを上げ
ものすごい勢いで教官機を猛追していく

(。゚ω゚) .。oO(もしかして!!)
機体をぶつける気!!

(;⌐●ゝ●)「くっ……止めだ!」
危険を感じた岩下教官が機体の操作を緩めた

そこを狙ってチョクはピッタリと教官の真後ろについた
チョクの……勝ちだ

25 : 2024/05/12(日) 15:46:31.14 ID:yYfQbego0
地上
(ꐦ●ゝ●)「バカ者が!!あんな危険な方法をとるとは何事だ!!」
(ꐦ●ゝ●)「貴様とはもう二度と一緒には飛ばん!!」

そう言って教官は腹を立てながら去っていった

(;´・ω・` )「君は本当になにを考えているんだい」
彡(゚)(゚)「…………フフフフ」

(;´・ω・` )「チョク?」
彡(^)(^)「よっしゃあああああああああ!」

彡(^)(^)「勝ったで、ワイは勝ったんや!!」
彡(゚)(゚)「見とったやろタケ!あれはワイの勝ちやよな!?」

(;´・ω・` )「……うん……まあ」
彡(゚)(゚)「やろ!やろ!そうやろ!」

彡(^)(^)「よっしゃあああああああああ!」

26 : 2024/05/12(日) 15:46:51.80 ID:yYfQbego0
(´・ω・`) .。oO(勝ちは勝ちだけど……)
ルール違反だって抗議されても仕方のない勝ち方だよ
教官は訓練上の保安に関して責任があるんだから
事故が起きるまえに安全な行動を取らなければならない

だからチョクのやった乱暴な戦い方は
それこそ卑怯と呼ばれるやり方なのかもしれない

でも、実戦でそんなことを言っていられるだろうか?
負けたのは相手が卑怯だったからだと

言えるはずがない

だって、そのときにはもう……敗者は死んでいるのだから
死人に口なしとはよく言ったものだ……とカッコつけてみたけど
彼のやったことには賛否両論あるだろう

(´・ω・`) .。oO(まあでも……)
訓練生が教官に勝ったなんて聞いたことがない

まったく……なにはともあれ……
大した男だよ君は……

27 : 2024/05/12(日) 15:47:19.38 ID:yYfQbego0
教官との一戦でなにかを掴んだのか
チョクの覚醒が始まってゆく

その兆候が見え始めたのが実弾射撃訓練だ
この訓練では前方を飛ぶ飛行機がターゲットの的をぶら下げており
それを狙って実弾を放つ

チョクの射撃の命中率は断トツでよかった
でも、それには理由がある
単純なことだが遠くからよりも
近くから銃を撃った方がよく当たる

チョクはそれを愚直にやっただけにすぎない
けど、あまりにも接近しすぎるものだから
誰もがチョクとペアを組むのを嫌がった

彡(゚)(゚)「タケ……」
(;´・ω・` )「えぇ……またボク……」

28 : 2024/05/12(日) 15:47:44.23 ID:yYfQbego0
ある日
(´・ω・`)「ふぅ……今日はチョクの単独飛行の日だから……」
(´・ω・`)「相手をしなくていい分、気が楽だ」

「おい!どっかのバカが着陸禁止エリアに突っ込もうとしてるぞ!」
「はぁあ!?」

(´・ω・`)……

「あんなところに不時着してみろ……」
「ブレーキなんて効かずに機体がひっくり返るぞ」

(;´・ω・` )……

「どこのどいつだ、その自殺志願のアホは?」
「あれは……菅野だ!菅野の機体だ!!」

( ;´-ω-` )……

ドカン!ボオーン!!グルン!!!ギャイーン!!!!ギギー!!!!!

:(´ºωº`):……

「あれは……死んだな……」

┗(`・ω・´;)┓「チョ、チョクー!!!」三三3

29 : 2024/05/12(日) 15:48:16.33 ID:yYfQbego0
(;´・ω・` )「あぁ……なんてことだ……」
訓練機がボロボロになってひっくり返ってる……
そんな……君との別れがこんなのってイヤだよ……

(;´・ω・` )「あれ?」
コックピットがもぬけの殻だ……
どういうこと?

「おーいタケ!そんなところにおったら……」
「火が出てガソリンにでも引火したら丸焼きやぞ」

(;´・ω・` ) .。oO(え?遠くからタケの声が……)
(。゚ω゚)「あ!!!」

チョクが遠くでゲラゲラと笑って立っていた

彡(^)(^)「いやー死ぬかと思ったで」
(。゚ω゚)「幽霊?」

彡(゚)(゚)「アホか!ワイはこうしてピンピンしとるわ」
(ꐦ^ω^)「どういうことだい?」

30 : 2024/05/12(日) 15:48:40.56 ID:yYfQbego0
彡(゚)(゚)「ワイはひっくり返るぞと思った瞬間……」
彡(゚)(゚)「座席をめいっぱい下げて身体を縮めたんや」

彡(゚)(゚)「で、ひっくり返って滑って止まったから」
彡(゚)(゚)「機体の隙間から這い出たんや」

(ꐦ^ω^)……
(ꐦ`•ω•´)「そんなこと聞いてるんじゃないよ!!」

(ꐦ`•ω•´)「なんでそんな危険なことをしたのか聞いてるんだよ!!」
彡(゚)(゚)「……そこに滑走路があったから」

(ꐦ`•ω•´)「アホか君は!!」

この後もチョクの蛮行は止まらなかった
無茶な操縦で訓練機を一機、また一機とどんどん破壊していき
計五機の訓練機をお釈迦にした

そして、いつからかチョクはこう呼ばれるようになった
菅野デストロイヤーと

31 : 2024/05/12(日) 15:49:41.90 ID:yYfQbego0
日本帝国は苦戦をしいられていた
連合艦隊司令長官 山本五十六はすでに戦死しており
当初の計画は狂いに狂ってしまっていた
そのため前線では重苦しい空気が漂い始めていたが
そんな中にあっても

(´^ω^`)「はい王手!」パチ
彡;(゚)(゚)「ま、待った!」

(´^ω^`)「待ったは禁止だよ~」
彡;(゚)(゚)「ぐぬぬぬ……」

彡;(゚)(゚)「下げて逃げるしかない……」
(´^ω^`)「はい王手飛車取り!」パチ

彡;(゚)(゚)「ぐぬぬぬ……」
彡;(゚)(゚)「ちっ嫌な相手に会っちゃったわ……」

32 : 2024/05/12(日) 15:50:08.65 ID:yYfQbego0
なぜだか分からないけどチョクのこの苦し紛れの一言
「嫌な相手に会っちゃったな…」が基地内で流行語になった

何かにつけてどこでも皆がこの言葉を使うものだから
基地内は嫌な奴だらけになっていた
でも、雰囲気は戦時中とは思えないほど意気揚々としたものだった

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