- 1 : 2024/04/25(木) 03:26:51.373 ID:ykWM3L4lW
- 〜 神谷道場 〜
剣心「志々雄が京都で暗躍している……!?」
大久保「ああ、全身を焼かれながらも志々雄真実は生きていた」
大久保「そして京都を拠点に一大兵団を結成し」
大久保「この国にもう一度動乱を起こさんと画策しているのだ」
剣心「……なるほど」
剣心「あなたがここに来た理由が分かりました」
剣心「つまり俺──拙者に志々雄を暗殺しろ、と」
薫「えっ……!」
大久保「いや、緋村に動いてもらう必要はない」
大久保「志々雄を倒すのは、内務卿であるこの私だ!」
剣心「大久保さん!?」
- 2 : 2024/04/25(木) 03:27:06.228 ID:ykWM3L4lW
- 剣心「いや……こういうことはきちんと戦闘訓練を積んだ人間に任せた方が──」
大久保「心配無用」
大久保「私も内務卿を務める傍ら、しっかり鍛錬は積んできた」
大久保「志々雄などに負けはしない」ニッ
大久保「我々はこれまで散々緋村に頼り、甘えてきた」
大久保「これ以上、君に修羅場に立って欲しくはないのだ」
大久保「これからは、君は君の幸せを追って欲しい」
剣心「だったらなぜ、拙者と斎藤を戦わせたんですか!?」
大久保「斎藤君──今は藤田君だが。彼から、君が弱体化していると報告を受けてな」
大久保「志々雄が君を脅威と判断し、狙う可能性は十分にある」
大久保「だからもしもの時のために、斎藤君と戦い実戦のカンを取り戻して欲しかった」
剣心「そうだったんですか……」
- 3 : 2024/04/25(木) 03:27:22.147 ID:ykWM3L4lW
- 大久保「……さて、そろそろ私は帰らせてもらおう」
大久保「仲間を大切にな、緋村」
剣心「……大久保さん」
剣心「十年前より随分やつれましたね」
剣心「やはり、新時代を作るというのは旧時代を壊すことより」
剣心「はるかに難しいということですか……?」
大久保「やつれたというより、引き締まったというべきかな」ニッ
大久保「私の肉体は幕末の頃よりも充実しているよ」
剣心「そ、そうでござるか……」
大久保は道場をあとにした。
- 4 : 2024/04/25(木) 03:27:34.356 ID:ykWM3L4lW
- 薫「ねぇ、剣心……」
薫「私、やっぱり大久保卿だけじゃ無理だと思うわ」
薫「剣心も協力した方がいいんじゃ……」
左之助「俺もそう思うぜ」
左之助「志々雄ってのは、剣心の後釜を担うほどの剣客なんだろ?」
左之助「大久保一人で太刀打ちできる相手じゃねぇ」
弥彦「あのオッサン、とても戦えるようには見えねーしな」
恵「そうねえ、ほとんど自殺行為だわ」
剣心「うむ、拙者もそう思っていた」
剣心「元維新志士として、むざむざ大久保さんを死なせるわけにはいかない」
剣心「かといって拙者も人斬りに戻るわけにはいかぬ」
剣心「さっそく明日にでも、大久保さんの護衛を買って出るでござるよ」
薫「うん……大久保卿をお願いね」
- 5 : 2024/04/25(木) 03:27:51.782 ID:ykWM3L4lW
- 翌日──
〜 大久保邸 〜
大久保「ほう、私の護衛につきたいと?」
剣心「ええ、やはり不安なので……」
大久保「ありがとう、緋村」
大久保「私に護衛など必要ないが、かつての同志の頼みを無下に断ることもできない」
大久保「これからは、君に護衛してもらうとしよう」
剣心「ありがとうございます」
大久保「そして、“内務卿”の戦闘というものを、しっかり勉強することだ」ニッ
剣心(内務卿は戦闘をする職業じゃないでござるよ、大久保さん……)
- 6 : 2024/04/25(木) 03:28:10.190 ID:ykWM3L4lW
- 明治十一年 五月十四日──
〜 紀尾井坂 〜
大久保と剣心は馬車に乗っていた。
ガラガラガラ……
剣心「大久保さん、京都へはいつ発つでござるか?」
大久保「今日の会議でひとまずの業務を皆に引き継いだ後──」
大久保「京都に向かおうと思う」
大久保「ゆえに今日の会議はかなり長引くだろう」
大久保「内務卿というのも、なかなか不便なものだよ」
剣心「分かりました」
大久保「私が動かねば、この国は滅びる」
「この国の行く末なんて、これから死ぬ人には無用な心配ですよ」ガチャッ
- 7 : 2024/04/25(木) 03:28:21.624 ID:ykWM3L4lW
- 宗次郎「大久保さん。あなたのお命、いただきます」ニコッ
剣心(走行中の馬車に乗り込んできただと!?)
剣心「大久保さん、拙者の後ろに──」バッ
大久保「曲者め!」
大久保「はっ!」シュッ
ドンッ!
宗次郎「うわぁっ!」ドザァッ
大久保の掌底が、宗次郎を馬車から叩き落とした。
剣心「お、大久保さん……おみごとでござる」
大久保「今のが大久保流格闘術だ、緋村」ニッ
〜
宗次郎「いたたぁ……やれやれ失敗しちゃったなぁ」
宗次郎「これじゃ志々雄さんに怒られちゃうや」
- 8 : 2024/04/25(木) 03:28:32.667 ID:ykWM3L4lW
- さらに──
大久保(前方に殺気!)ピクッ
大久保「とうっ!」バッ
剣心「大久保さん!?」
馬車から飛び降りる大久保。
大久保「おはよう、君は私の命を狙っていた石川県の島田一郎君だね?」スタッ
島田「うわっ!? お、大久保!?」チャキッ
大久保「ここに芸術家(あるていすと)に作らせた、私そっくりの人形がある」スッ
大久保「私はまだ4ねない。これで勘弁してもらえないだろうか?」ニッ
島田「いいだろう……!」
大久保(これで私は死んだことになり、自由に動ける……)
- 9 : 2024/04/25(木) 03:28:44.459 ID:ykWM3L4lW
- これが、明治十一年五月十四日「紀尾井坂の変」の真相である。
- 10 : 2024/04/25(木) 03:28:57.241 ID:ykWM3L4lW
- 「号外! 号外!」
「大久保卿暗殺!」 「内務卿暗殺!」 「明治政府の頂点が暗殺!」
大久保「号外とは珍しいな」ピラッ
大久保「これは!?」
大久保「緋村、なんと私が暗殺されてしまったらしい!」
剣心「なにをいっているでござるか、大久保さん……」
大久保「“内務卿ジョーク”というやつだよ、緋村」
大久保「ちなみにジョークというのは英語で、日本語では冗談という意味だ」
剣心(イライラするでござる)
ザワザワ……
「オイ……あれ、大久保じゃね?」 「そっくりだ!」 「え、でも暗殺されたって」
大久保「おっと騒ぎになるとマズイ。そろそろ京都に向かおう」
剣心「はい……」
- 11 : 2024/04/25(木) 03:29:11.451 ID:ykWM3L4lW
- 〜 東海道の森 〜
巻町操と遭遇した大久保と剣心。
操「ねえアンタたち、あたしは御庭番衆なんだけどさ」
操「蒼紫様のこと、知らない?」
大久保「少し待っていなさい。大久保流探索術ですぐに調べる」
大久保「むむむ……」カッ
大久保「四乃森蒼紫君は現在、樹海の奥深くで修業をしている」
大久保「君のような少女がたどり着ける場所ではない。君は我々と同行しなさい」
操「ふうん……ま、いいわ。蒼紫様の修業のジャマしたくないしね」
剣心「なんなんですか、大久保流探索術というのは?」
大久保「私の第六感で、人の居場所を探り当てるという技だ」
剣心「ようするに勘でござるか」
- 12 : 2024/04/25(木) 03:29:26.222 ID:ykWM3L4lW
- しばらく歩くと、一人の青年が倒れていた。
栄一郎「うぅ……」
剣心「!」
剣心「なにか……言い残すことはないでござるか……」スッ…
大久保「待ちたまえ、緋村。まだ助かる」
大久保「はっ!」ドンッ
三島栄一郎は回復した。
栄一郎「ありがとう、すっかり回復したよ!」
大久保「大久保流治癒術が役に立ったようだ」
操「すっごい……」
剣心「大久保さん……こんな術も使えたとは……」
栄一郎「そうだ! 頼みがある、志々雄の手から村と弟たちを助けてくれ!」
大久保「安心しなさい、志々雄は私が倒す!」
- 13 : 2024/04/25(木) 03:29:38.096 ID:ykWM3L4lW
- 〜 新月村 〜
栄次「兄貴を助けてくれて、ありがとう!」
栄次「だけど頼む! 俺のお袋と親父も助けてやってくれ! このままじゃ尖角に!」
大久保「大丈夫だ。すでに二人は大久保流救出術で、救出してある」
栄次「本当か!?」
大久保「内務卿は嘘をつかんよ」
大久保「だが、君たち家族はもう新月村にはいない方がいいだろう」
大久保「君たちは斎藤君の妻である時尾さんのところへ行き、世話になるといい」
栄次「うん、分かった!」
剣心「大久保さん、斎藤に無許可でそんなことをしてもいいでござるか?」
大久保「内務卿の方が警部補より偉いから、問題あるまい」ニッ
大久保「それより緋村、湯治をしているという志々雄を倒しに行くぞ」
彼らを遠くから見ていた斎藤。
斎藤(まあ別にかまわんがな……時尾はできた女だ)
- 14 : 2024/04/25(木) 03:29:52.737 ID:ykWM3L4lW
- 〜 志々雄の館 〜
大久保、剣心、斎藤の三人が乗り込む。
志々雄「嬉しいねぇ」
志々雄「わざわざ俺のために内務卿、人斬りの先輩、元新撰組組長が来てくれるとは」
大久保「無駄話をするつもりはない」
大久保「日本の未来のため、この明治政府内務卿がお前を倒す!」
志々雄「フッ……だったらまずはコイツを倒してみな」パチンッ
尖角「ヴァアアアアアッ!」グオオッ
大久保「!」
ズガァッ!
尖角の握り懐剣が、大久保を直撃した。
剣心「大久保さん!」
剣心(しまった! いつの間にか大久保さんなら大丈夫と思ってしまっていた!)
- 15 : 2024/04/25(木) 03:30:12.044 ID:ykWM3L4lW
- 大久保「効かんな」
尖角「なにィ!?」
大久保「大久保流格闘術には、大きく分けて三つの流れがある」
大久保「己で技を作る『創業』、技で敵を討つ『発展』、自分の身を守る『守成』」
大久保「今は『守成』を使わせてもらった」
大久保「いくぞ!」
大久保「大久保流奥義──」
大久保「国民国家(ネイションステイト)!!!」
ドゴォンッ!
尖角「ぐはァ!」ドサッ
斎藤「国民国家(ネイションステイト)……」
斎藤「御上が全てを決めるのではなく、国民が自分たちの道を選ぶという国家か」
斎藤「壮大すぎる“理想”だな」
剣心「素晴らしい理想でござるが、なにも技名にしなくても……」
- 16 : 2024/04/25(木) 03:30:23.422 ID:ykWM3L4lW
- 志々雄「やるじゃねえか、さすがは内務卿といったところか」
大久保「次はお前だ」
志々雄「フ……」
志々雄「明治政府の頂点たる内務卿と、明治政府転覆を狙う修羅」
志々雄「二人がやり合う場として、ここは舞台として余りにも相応しくねぇ」
志々雄「悪いが、退散させてもらうぜ」スッ…
大久保「待て! 国民国家(ネイションステイト)!!!」
ドゴォンッ!
大久保「逃がしたか……」
剣心「大久保さん、おそらく志々雄は京都に戻るはず」
剣心「京都にある操殿の家は料亭だというし、一度そこで作戦を立てましょう」
大久保「そうだな」
- 17 : 2024/04/25(木) 03:30:38.905 ID:ykWM3L4lW
- 〜 葵屋 〜
操「じいや、ただいま!」
翁「ひょーっ、操! まったく心配をかけおって!」
翁「おや、そちらのお二人は──」
翁「もしや“明治政府内務卿”殿と“人斬り抜刀斎”殿ですかな?」
大久保「!」
剣心「!」
大久保「私は表向きは死んだことになっているはずだが──」
翁「御庭番衆京都探索方“翁”、情報力はまだまだ健在ですぞ」
翁「かつてはあなたがた維新志士と敵対する立場だったとはいえ、この翁」
翁「打倒志々雄一派に喜んで協力しますぞ」ニッ
大久保「ありがとう、翁殿」
- 18 : 2024/04/25(木) 03:30:52.388 ID:ykWM3L4lW
- 剣心「京都は……久しぶりですね」
剣心「日本全国流れましたが、もう京都に来ることはないと思っていました」
大久保「君にとっては、嫌な思い出も多い街だろう」
大久保「すまないな、こんなことに巻き込んでしまって」
剣心「いえ……ですが、せめてこの逆刃刀をくれた恩人には挨拶がしたい」
剣心「すでに翁殿の調査で、逆刃刀を作った赤空殿は亡くなられたと判明しましたが」
剣心「そのご子息である青空殿が京都で店を出していると聞いたので」
剣心「挨拶をして、墓参りだけでもさせてもらおうかと思っています」
大久保「緋村の恩人ということは私の恩人ということでもある」
大久保「是非、私も同行させてくれ」
剣心「ありがとうございます、大久保さん」
- 19 : 2024/04/25(木) 03:31:04.443 ID:ykWM3L4lW
- 〜 青空宅 〜
バキィッ!
青空「ぐはァッ!」ドサッ
梓「あなた!」
張「ワイ、強情なヤツ見るとイラついてたまらんのや」
張「さっさと、赤空最後の一振りの在り処を吐けや」
張「でないとワイ、イライラついでにこの赤ん坊を斬っちまうかもしれへん」ニィッ
伊織「びえぇ〜〜〜〜〜んっ!」
大久保「何をしている!」ザッ
剣心「赤ん坊から離れるでござる!」ザッ
張「なんや? 死にとうなかったら、部外者は──」
張「!」
張(コイツらはもしや……大久保と抜刀斎!?)
- 20 : 2024/04/25(木) 03:31:18.733 ID:ykWM3L4lW
- 張「ついとるで!」
張「内務卿と抜刀斎の首を手土産にすりゃ、志々雄様もお喜びになるやろ!」
大久保「お前は志々雄の手下か」
張「特攻部隊・十本刀“刀狩”の張や。どうせ死ぬんやから、わざわざ覚えんでええで」
大久保「来るがいい。内務卿の力を思い知らせてやる」
張(大久保に武器はない……なら間合いの外から刻むんが得策やな)
シュバァッ!
大久保「くっ!」サッ
張「よう避けよった!」
青空「あれは、父が作った後期型殺人奇剣“薄刃乃太刀”!」
剣心「極限まで薄く鍛えられた刃が、変幻自在の太刀筋を生むでござるか……!」
シュルンッ! シュババァッ! ヒュバァッ!
張「ハハハ、手も足も出せへんとはまさにこのことやな!」
- 21 : 2024/04/25(木) 03:31:31.518 ID:ykWM3L4lW
- 大久保「ならば──大久保流模倣術!」サッ
張「模倣? 薄刃乃太刀どころか刀すらないワレが、ワイのなにを真似るんや!?」
大久保「むろん──君の刀の動きだ」ウネウネ
張「は!?」
大久保「はあああああっ!」ウネウネウネウネ
剣心「大久保さんの体が、薄刃乃太刀のようにしなっているでござる!」
青空「うっ……人間技じゃない……!」
伊織「おひげ、うねうね〜」キャッキャッ
張「なんや!? まるで別人やんけ! っていうか人間やないで、コレ!」
大久保「内務卿たる者、これぐらいはできねばな」ウネウネウネウネ
張「うわぁぁぁっ! こっち来んなやぁぁぁっ!」シュバッ
大久保「国民国家(ネイションステイト)!!!」
ドゴォンッ!
張「ぐおァ……!」ドサッ
- 22 : 2024/04/25(木) 03:34:21.285 ID:EeFi1//Mn
- もう寝るからまた明日やって
- 23 : 2024/04/25(木) 03:38:07.499 ID:90t1qgfBk
- シンプルにつまらない
14億点 - 24 : 2024/04/25(木) 03:41:35.318 ID:GzUGSgP4E
- 栄一郎とか梓とか名前ついてたんだな
- 25 : 2024/04/25(木) 03:50:42.242 ID:H6bZxvfL4
- 久々に面白かったわ
- 26 : 2024/04/25(木) 03:59:13.269 ID:0XcObzWlT
- みっともないスレッドですよ、はっきり言って
- 28 : 2024/04/25(木) 04:01:04.194 ID:rP3mJ4X/n
- 感動した
二次創作ってこうだよね - 31 : 2024/04/25(木) 04:27:15.268 ID:CJk9J2vVc
- 最後はゲッターロボが出てくると思ったんやけどな
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