2019年7月2日、当時の安倍首相と統一教会の幹部らは「20分間の面談」の場で絶頂に達した

​統一教会は、日本政界における影響力を「日韓トンネル」などの宿願事業を推進するために活用した。徳野前会長は2018年5月の報告で、「『選挙応援』を通じて議員らや自民党トップクラスの大物幹部らとより深い信頼関係を築いていくことが、最も現実的で効果的なアプローチだ」とし、当時、統一教会が開催した日韓トンネル関連の行事に日本の現職議員19名が出席したと報告した。

​2018年10月11日の報告には、日本の中堅政治家を通じて韓国政界に影響を及ぼそうとした状況も明らかになっている。徳野前会長は、統一教会と近い関係にあった重鎮衆議院議員が日韓議員連盟総会に出席するため訪韓する際、「（文在寅大統領に会ったら）日韓トンネルを本格的に進めようという話を必ずしてほしいと頼んだ」と報告した。

​統一教会と安倍首相の蜜月関係は、彼が首相の座を退き、銃撃事件で死亡する直前まで続いていた。安倍元首相は、退任から1年後の2021年9月、統一教会が主催した「シンクタンク2022 希望前進大会」でビデオ基調講演を行った。銃撃事件直前の2022年7月にも、統一教会は「安倍元首相の依頼で我々が応援している」（TM報告）とし、参議院候補者である井上義行氏のために水面下で選挙戦を繰り広げていた。

​そうした中、2022年7月8日の銃撃事件で安倍元首相が死亡し、犯人の山上徹也が統一教会信者の息子であることが確認されると、日本統一教会は大きく動揺した。日本統一教会の奈良教区長である金（キム）某氏は、銃撃直後の2022年7月10日の報告で「犯人の山上徹也を知っている信徒から電話があり、（教団員である）〇〇氏の息子であることを知った」とし、「山上徹也が（日本統一教会の）大和郡山教会の所属となっていたため、本部会長の指示で会員記録を削除した」と明らかにした。続けて、犯人の山上の母親が数億円の献金をして家庭内の紛争が激しくなったとし、「そのような家庭環境であったため、犯人も教会に恨みを抱いたようだ」とも報告した。

​この日の報告には「A首相関連」というタイトルで、「日本被害：参議院選挙後に矛先が向けられる可能性あり―宗教法人抹殺―献金関連―VIP交渉基盤の崩壊」、「韓国：メディア対応すでに開始、韓国はむしろ反安倍情緒、キリスト教が積極的に活用する可能性も」など、当時の状況に対する緊迫した独自の分析も盛り込まれていた。