障がいのある私の娘は、あなた方の「感動ポルノ」ではない─“健常者の見世物”になるのはもうたくさん

娘は当たり前のこと以上のことは何もしていない。もしあなたが娘に、すごいねと言ったなら、娘はいぶかしげにあなたを見るだろう。
「私の歩行器がピンクだから褒められたのかな？」「車いすのボタンを押して前に進んだから褒められたのかな？」といったように。

どうか私の娘に、「とても困難なのに」自分ですべてやるなんて感動的だ、などと言わないでほしい。
私の娘がその言葉の中から聞き取るのは哀れみの念だ。けれど、娘はあなたの哀れみなど求めていない。障がいがあるから自分は特別だなんて思っていない。
娘は声をかけてくれたあなたにお礼を言うだろう。なぜなら私たちがそうするように教えたから。娘はあなたがかけた言葉を受け入れるだろう。なぜなら、彼女は礼儀正しいから。

けれど、確かな理由もなしに褒められる日々が続けば、彼女はやがて簡単にいら立つようになるだろう。
なぜなら自分で薬を飲んだり歯を磨いたりする度に、いつも称賛がもらえると期待するようになるからだ。

そして、娘に向かって「God bless you（神のご加護を）」と祈るのもやめてほしい。
ある時、誰かが彼女に感嘆してこう言ったことがある。「お嬢ちゃん、神さまのお恵みがありますように」と。

それを聞いた娘はその場で立ちすくんだ。そしてその人を見ると、「でも私はくしゃみをしてないよ！」と言ったのだった。
娘は普通の日常を送ることについて、あなたの祈りはほしくもないし、必要ともしていない。

「かわいそうな障がい者」と見ないで

私は、人々が善意や親切心から、そのような声をかけたり、いろんなことをやったりしてくれるのをわかっている。でも娘はそれがわらかない。
彼女は小さな子供で、人懐っこくかわいらしく、そしておしゃべり好きだ。だからあなたはきっとつながりを持ちたいと感じ、分け隔てなく共にありたいと思い、そして会話をしたいと考えるのだろう。
しかし、どうかわかってもらいたい。あなたが娘に感動したとしても、単に生きていることだけで彼女を褒めたたえることは、むしろ健常者が彼女をどう見ているかを伝えることなのだ。
つまり、彼女を個人としてではなく、「かわいそうな障がい者のひとり」と見ているのである。

彼女について信じられないほどに特別だと声高に言うことは、娘にとっては実際のところ哀れみの言葉であり、彼女をいら立たせて不完全さを感じさせるものなのだ。
どうしてこの社会はそれがわからないのだろう。なぜ、むしろ道路や商店や建物、公園や学校を完全にバリアフリーにしようとする方向に意欲を向けられないのだろうか。
障がいのある子供と健常児のクラスを統合するためのより良い方法を見つけられないのだろうか。

もしアメリカの人口の12％以上に何らかの障がいがあるとすれば、どうして私たちは障がいをもっと通常にあるものとして見ることができないのだろうか。
娘と健常者との違いに目をつぶってほしいと言っているわけではない。
彼女は違っていて、そしてその違いを見ないふりをすることは彼女に欠かせない個性を無視することである。
でも、ただ普通に娘を見て接してほしい。彼女に対し、何か間違ったことを言ってしまうのではないかと怖がらなくていい。
気持ちを楽にして、娘に合わせてやってほしいのだ。

もしあなたの子供が、うちの娘の歩行器や車いす、胃ろうカテーテル、または話し方について何か聞きたいことがあるなら、質問させてくれてかまわない。
あなたが子供に「シーッ」と言って黙らせようとするのを娘は聞いている。
怖がらずに質問してほしい。娘はそれに答える。おそらく、単に「私は生まれつきこうなの」と答えるだけだと思うが、
もし娘がおしゃべりしたい気分のときに質問をしたら、あなたは尋ねたことを後悔するかもしれない。

娘は自分について話すのが大好きなのだ。他の子供たちを自分の車いすに乗せてくるくる回転させたり、歩行器を使って競走したりするだろう（そしてきっと娘が勝つ）。
娘はあなたの関心がほしいのだ。そして彼女がほしくないのは、あなたの哀れみの心なのである。
称賛の言葉の代わりに何を言えばいいのか思い悩んでしまうだろうか？　あなたが8歳の健常児に話しかけるようなことを何でも話しかけてやってほしい。
車いすの車輪についているライトがかっこいいね、と言ってもいい。実際にかっこいいライトなのだ。

一番好きな色は何色かとか、大好きな映画やお気に入りのディズニー・プリンセスについてでもいい。もしくは誕生日には何をしたの、などの質問でいいのだ。
もし娘と一緒にいて間がもたないような時は、彼女が何をしてほしいか聞いてやってほしい。心配はいらない、娘はあなたにしてほしいことを言う。

けれど、彼女のご機嫌を取ろうと努力しないでほしい。そうすれば、娘はガキ大将のように振る舞っていいのだと勘違いしてしまうから。
ピンクの服が似合うねとか、笑うと歯がないのが見えてかわいいね、などと娘を褒めないでほしい。それは彼女の祖父母がしてくれている。
その代わりに少し時間をかけて娘を知ってやってほしい。
あなたの考えるような「どうしようもなく愛らしい、障がいのある女の子」という対象物としてではなく、ひとりの人間としての娘を知ってほしいのだ。
Aimee Christian

健常者の俺たちが伝えると、それこそ「障碍者差別だ！」とか吊されちまう