正直、渋沢栄一ってブサイクだよな

　桑原館長によると、喜作の生涯は、栄一側の資料から分かる以外、詳細な年譜が分かっていないという。喜作の複数の子供が早世したとされるが、今回、幼い娘を失ったことが明らかになった。手紙で娘・三重の病状悪化や危篤、死亡を知らせ、「残懐の至り」とショックを受けた様子を記していた。桑原館長は「家族あての手紙だけに、怒ったり悲しんだり、本音が出ていて興味深い」と話す。

　新屋敷当主の文作の息子で、跡継ぎだった文太郎が転籍した経緯も判明。喜作は、文太郎が新屋敷を出ようとしていると知り、怒った様子で「どうなっているのか」と問いただした後、別の手紙で一転して養子先を探して話を進めていた。桑原館長は「家を継がなかった喜作が、新屋敷の継承を気にかけている一方で、一家の中で喜作の発言権が大きいことも分かる。やはり栄一と喜作は一族の中で特別な存在だったのだろう」とみる。

　写真は、1911（明治44）年4月1日に撮影された、喜作の息子・義一の結婚式の記念写真。撮影場所は東京の喜作の自邸で、栄一の日記と照らしあわせるなどして判断した。前列中央に喜作夫妻と栄一夫妻が並び、新郎新婦は後列に立つ。桑原館長は「当時は家同士の結婚で、普通なら喜作と新婦の父が中央のはずだが、やはり栄一が中心だったのだろう」と説明する。喜作は翌12年8月に74歳で死去しており、最晩年の1枚という。【岡礼子】

一般人（だから何…）