女性さん「借金で死にたい…」彼氏「まかせろ、一家全員皆殺しにしてやんよ！」　嘱託殺人で懲役8年

　福島県いわき市で１月、母子４人が心中を図った母親の交際相手に殺害された事件で、福島地裁いわき支部（名島亨卓ゆきたか裁判長）は５日、嘱託殺人と承諾殺人の罪に問われた同市小名浜愛宕町、住宅リフォーム業緑川雅孝被告（５１）に懲役８年（求刑・懲役１０年）の判決を言い渡した。

　名島裁判長は判決理由で「積極的に死を望んでいたと認めがたい中学生３人を巻き込み、短絡的な犯行」と指摘した。

　判決などによると、緑川被告は１月２１日、同市三和町合戸の公園駐車場に止めた乗用車内で、交際相手の吉川美奈子さん（当時４３歳）から依頼を受けたほか、吉川さんの息子の歩夢君（同１５歳）、双子の娘の姉茅乃さん（同１３歳）、妹海音さん（同１３歳）から承諾を得て、４人の首を包丁で刺すなどして殺害した。

　緑川被告と吉川さん一家は同じアパートの隣同士の部屋に住むなど長年、家族のように生活していた。緑川被告は会社の経営状態が悪く、約６００万円の借金を抱え、吉川さんも借金があった。吉川さんは事件の数日前から自分と子供を殺してほしいと緑川被告に持ちかけていた。

　判決は「被告は被害者の親族に相談するなど最悪の選択を避ける方法を探らなかった」と非難。中学生３人の命が奪われた結果は重大で、絶望感などは無視できないとし、同種事件の中で重い量刑を選んだ。

　弁護側は、心中は長年交際した相手の頼みで断り切れなかったとして、執行猶予付き判決を求めていた。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20200805-OYT1T50203/