台湾駐在日本人にブチ切れた台湾原住民が日本人19人を殺害　「サラマオ事件」100周年

18日深夜、台湾で「サラマオ事件」が発生する。台湾中部の山岳地帯で、原住民60名が武装蜂起。日本側は、台湾原住民のほかの部族の力を借りて、台湾原住民どうしで戦わせて鎮圧する。 ＝百年前新聞社 (1920/09/18)

▼鎮圧部隊。手前に、敵の首25個が並んでいる。

本日、台湾の山岳地帯で、原住民が蜂起しました。台湾原住民のタイヤル族の一部が、日本の植民地支配への反発から武装蜂起を開始。山岳地帯にある日本人の駐在所が襲撃され、日本の警部補とその家族19名が殺害されるなど、あたり一面、凄惨を極める事態となりました。

台湾原住民の蜂起の直接のきっかけは、スペイン風邪の流行でした。スペイン風邪は、ここ数年世界的に広がっている病気ですが、台湾では山岳地帯まで道路が引かれたことで、山奥でも感染。そのため、原住民の一部は日本の台湾総督府への恨みを募らせていたようです。

事態を重く見た日本側は、一計を案じました。タイヤル族と同時に蜂起しようとしたセデック族のモーナ・ルダオ氏(40)と接触し、取り引きをおこないます。サラマオ討伐軍に加わるならば、罪を軽くすると持ちかけ、台湾原住民どうしで戦うこととなりました。

台湾原住民の頭目であるモーナ・ルダオ氏(40)は、日本側の取り引きに応じ、日本側の味方として原住民の反乱の鎮圧に乗り出しました。日本側は味方となった原住民に、禁止していた「出草（しゅっそう）」を特別許可し、敵対部族の首を次々に切り落とさせました。

台湾原住民の風習である「出草（しゅっそう）」とは、草むらに隠れて急に飛び出し、敵の首を切り落とす首狩りの風習。日清戦争後、日本が台湾支配に乗り出してからは、野蛮な風習であるとして禁止されていましたが、今回の反乱鎮圧においては特別に許可されました。

台湾は、下関条約以来の25年、日本総督府によってかなり開発が進みましたが、山岳部ではまだ原住民の勢力が強く残っています。今回の「サラマオ事件」などをきっかけに制圧が進めば、これまで難しかった台湾全域の旅行も、安全におこなえるようになるかもしれません。

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さて、アウイヘッパハが書いた「証言 霧社事件」によれば、1920年頃この地方にインフルエンザが流行、原住民から多数の死者がでて蕃情が悪化したという。原住民からすれば、このように多くの死者が出るのは、日本人が我々の土地に侵入して好き勝手なことをしているからであり、一刻も早く日本人を追い出せと、彼らの神「ウットフ」が怒っているということになる。

この後、サラマオの藩人は、武装蜂起して、駐在所を襲撃、警部補の長久保栄左エ門以下、日本人19人を殺傷したというのが、「サラマオ事件」であった。