ゴキブリの姿を見ずに捕獲できる兵器を高校生が開発「研究にはゴキブリを素手で触れる酒井くんの協力が不可欠だった」

https://www.gifu-np.co.jp/articles/-/318071

岐阜市中鶉の岐阜聖徳学園高校の２年生４人が、ゴキブリが苦手な人向けにゴキブリを捕獲する道具を制作し実験結果をまとめた。道具は姿を見ず、触らず、距離を取ってゴキブリに対処できるのが特徴。ゴキブリが苦手な生徒たちが、本物のゴキブリと格闘し試行錯誤しながら取り組んだ。

手掛けたのは同校２年の河村友果さん、金神伶旺さん、内田莞司さん、酒井崇太郎さん。同校の「総合的な探究の時間」で昨年秋から取り組んできた。

ゴキブリを捕獲する複数の市販品を比較してみると、ゴキブリの姿を確認する必要があり、近づかなければならないなど課題が明らかになった。それらを解決できる道具を作ろうと案を出し合った。長い柄の付いた箱状の物をゴキブリにかぶせて捕獲し、箱の中の狭い空間に閉じ込めてから中身を見ずに逃がしたり、駆除したりできる道具を制作した。

生徒たちは完成した道具と市販品を比較して実験を開始。クラスメートや教員の協力で、数百回におよぶ捕獲を繰り返した。手作りの道具のため接合部の小さな隙間から逃げ出す例もあったが、成功率は市販品が８８％に対し、生徒たちの道具は７３％と健闘。ゴキブリの姿を見ずに高い確率での捕獲に成功した。

一方で、実験には生徒が苦手なゴキブリと対峙（たいじ）しなければならないという試練もあった。実験に使うゴキブリを集めるため、校内で生け捕りを試みたほか、「ゴキブリ募集」のポスターで提供を呼びかけた。３匹集まったがより多くのゴキブリが必要で、は虫類の餌用のゴキブリ「レッドローチ」を購入して代用。

ゴキブリが苦手な生徒はおもちゃを使って慣れようとしたが、ついに本物を触ることはできなかったという。そのため、「４人のうち唯一ゴキブリを触れる酒井さんの存在が欠かせなかった」と３人は笑う。

研究をしてうれしかったことも。嫌われ者のゴキブリを研究する４人を当初は不思議に思っていた教員や生徒もいたが、熱心な様子を見て徐々に理解が広がり、自宅で捕獲したゴキブリを提供してくれる協力者も現れた。また、ゴキブリ駆除剤などの製造販売を手がけるタニサケ（揖斐郡池田町片山）が実験に協力するなど、企業の支援もあった。

河村さんは「思い通りにならず壁もあったが、道具の完成をみんなが楽しみにしてくれたことが励みになった」と語る。ゴキブリには「ここまで向き合うと少し平気になった」と言うが、「やっぱり苦手」と苦笑いした。