オスマン帝国（現在のトルコ）が滅びた理由を検証してみた

​【特集】巨塔はなぜ崩れたのか？600年続いたオスマン帝国 滅亡の真相

​キャスター：「こんばんは。『ワールド・ヒストリー・トゥデイ』です。今夜は、かつて3つの大陸にまたがる広大な領域を支配しながら、20世紀初頭に歴史から姿を消した大帝国、オスマン帝国滅亡の真相に迫ります。600年以上続いた巨大な国家は、なぜ、そしてどのようにして終焉を迎えたのでしょうか。取材しました」
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​「1922年11月1日。およそ620年にわたり続いたオスマン帝国のスルタン制が廃止され、輝かしい歴史に幕が下ろされました。その直接的な引き金は、第一次世界大戦での敗北でした。しかし専門家は、帝国の崩壊はそれよりずっと以前から始まっていたと指摘します」

​「オスマン帝国の滅亡は、ある日突然起きたわけではありません。いわば『静かに進行した病』のようなものです。内部ではスルタンの権威の低下や官僚の腐敗が進み、かつて最強を誇った軍隊『イェニチェリ』も、政治に介入する既得権益集団と化していました。国家の中枢が、構造的な疲労を起こしていたのです」

「さらに帝国の経済を蝕んだのが、ヨーロッパで起こった産業革命の波でした。工業化に乗り遅れ、ヨーロッパ製品が大量に流入。不平等条約によって関税の自主権も失い、国内産業は大きな打撃を受けます。いわば、経済的な植民地ともいえる状態に陥っていたのです」

​「こうした帝国の弱体化を見逃さなかったのが、ロシアをはじめとするヨーロッパの列強でした。彼らは『東方問題』と称してオスマン帝国の領土を虎視眈々と狙い、度重なる戦争を仕掛けます。帝国は領土を次々と失い、その権威は失墜していきました」

​「そして、帝国の足元を揺るがす、もう一つの大きな動きが『民族主義』の高まりでした。ギリシャの独立を皮切りに、バルカン半島で独立運動が激化。多民族国家であった帝国の結束は、内側から崩れていったのです」

​「まさに、満身創痍。そんな状況でオスマン帝国が国の命運を賭けて参戦したのが、第一次世界大戦でした。しかし、結果は敗北。戦勝国から突きつけられたのは、領土の大部分を失うという、極めて屈辱的な講和条約でした」

​「この国家存亡の危機に、一人の英雄が現れます。軍人、ムスタファ・ケマルです。彼は国民を率いて『トルコ革命』と呼ばれる独立戦争を開始。祖国を分割しようとする連合国軍を打ち破り、屈辱的な条約を覆したのです。この国民的な熱狂の中で、もはや時代遅れとなった帝国の維持は選択肢にありませんでした」

​「1922年のスルタン制廃止、そして翌1923年のトルコ共和国建国へ。オスマン帝国という巨塔は、内外の複合的な要因によって静かに崩れ、その瓦礫の中から、新たな国民国家が産声を上げたのです」
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​長期にわたる内部の構造的な問題に、外からの大きな変化の波が押し寄せた、ということですね。600年以上という長い歴史も、時代の変化には逆らえなかった。これは、現代に生きる私たちにとっても、多くの教訓を与えてくれそうです。
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