オスマン帝国の繁栄と終焉までを3分で解説します

​2025年10月3日
​かつて3大陸にまたがる広大な領域を支配し、6世紀以上にわたって世界の歴史に大きな影響を与えたオスマン帝国。その劇的な勃興から、華麗なる最盛期、そして静かな終焉までを解説します。
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​13世紀末、アナトリア（現在のトルコ）の片隅で誕生したオスマン侯国。後の大帝国の初代スルタン（皇帝）となるオスマン1世の下、イスラム教の信仰のために戦う「ガーズィー」と呼ばれる戦士たちを中心に勢力を拡大しました。
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​転機が訪れたのは1453年。第7代スルタン、メフメト2世が難攻不落とされたビザンツ帝国の首都コンスタンティノープルを攻略。千年の歴史を誇った東ローマ帝国を滅亡させ、その名を世界に轟かせました。都市は「イスタンブール」と改称され、帝国の新たな首都として、また東西文明の十字路として繁栄の時代を迎えることになります。専門家は「この出来事は、中世の終わりと近世の始まりを告げる象徴的な事件だった」と指摘しています。
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​帝国の絶頂期は、16世紀に即位した第10代スルタン、スレイマン1世の治世です。ヨーロッパでは「壮麗帝（the Magnificent）」として知られる彼は、ハンガリーを征服し、ウィーンに迫るなど、ヨーロッパキリスト教世界に大きな脅威を与えました。
​彼の時代、帝国の領土はアジア、ヨーロッパ、アフリカの3大陸にまたがり、東はイラク、西はオーストリア国境、南はエジプト、北は黒海北岸にまで及びました。
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スレイマン1世は軍事面だけでなく、内政においても大きな功績を残しました。法典を整備し、能率的な行政機構を確立したことから、トルコでは「立法者（カーヌーニー）」とも称されます。イスタンブールには、高名な建築家ミマール・スィナンによってスレイマニエ・モスクなど、今日まで残る壮麗な建造物が次々と建設され、オスマン・トルコ文化は黄金期を迎えました。
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​栄華を極めた帝国も、17世紀末から徐々にその勢いを失い始めます。1683年の第二次ウィーン包囲の失敗を境に、軍事的な優位は揺らぎ、ハプスブルク家やロシア帝国との戦争で度重なる敗北を喫し、広大な領土を次々と失いました。
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内部では、スルタンの権威の失墜、官僚機構の腐敗、そしてかつて最強を誇った常備歩兵軍団「イェニチェリ」の特権階級化と堕落が深刻化。また、19世紀に入ると、フランス革命の影響でバルカン半島の諸民族の独立運動が激化し、帝国は解体の危機に瀕します。
​ヨーロッパ列強から「瀕死の病人」と揶揄される中、アブデュルメジト1世による「タンジマート（恩恵改革）」など、近代化を目指す改革も行われましたが、国内の抵抗や列強の干渉により、抜本的な立て直しには至りませんでした。
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​そして迎えた20世紀。青年トルコ人革命を経て立憲政治に移行するも、帝国が直面する困難な状況は変わりませんでした。運命の分かれ道となったのは、1914年に勃発した第一次世界大戦です。ドイツ側に立って参戦したオスマン帝国は、敗戦国となり、広大なアラブ地域の領土を完全に失いました。
​戦後、連合国による領土分割の危機に直面する中、ムスタファ・ケマル（後のアタテュルク）が率いるトルコ国民運動が勃発。祖国解放戦争に勝利し、1922年、ついにスルタン制の廃止を決定。623年にわたるオスマン帝国の歴史は、静かにその幕を下ろしました。翌1923年、アンカラを首都とするトルコ共和国が建国され、新たな時代が幕を開けたのです。
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