ウクライナ軍総司令官「限定的な核戦争の可能性を排除できない」

ウクライナ軍総司令官、「限定的な」核戦争は否定できないと発言

ウクライナ軍総司令官（ヴァレリー・ザルジニー氏）は水曜日、ロシアと西側諸国による「限定的」な核戦争は、世界的に重大な影響を及ぼすシナリオであり、決して軽視できないと警告した。
ヴァレリー・ザルジニー司令官は、国営メディア「ウクリンフォルム」が掲載した記事の中で、「特定の状況下でロシア軍が戦術核兵器を使用する直接的な脅威がある」と書いている。"また、第三次世界大戦の見通しがすでに直接見えている「限定的」核紛争に、世界の主要国が直接関与する可能性を完全に排除することは不可能である。"

ザルジニー氏はまた、8月にロシアが占領したクリミア半島の奥深くで行われた攻撃の背後に、ウクライナ政府がいたことを初めて認めた。攻撃された空軍基地と弾薬庫は、以前はウクライナにとって射程外であると考えられていた地域にあったが、「ロシア軍の重心」を移動させる戦略の一部であったと、ザルジニー氏は書いている。
クリミア攻撃はウクライナの最新戦略を示している、と関係者は言う。

彼は、クリミアの攻撃は、ウクライナが手薄な兵士のために長距離兵器を送るよう同盟国に求めていることの「説得力のある例」であると言った。ロシアは20倍遠くまで攻撃できるという。
総司令官の評価は、ウクライナ軍が南部と東部の反撃で小さな地域を奪還していると主張する中で行われた。この戦闘は、ロシアのより進んだ武器と技術に対して大きな損失に直面しているウクライナ兵に大きな犠牲をもたらしている。

ザルジニー氏の警告は、ヨーロッパ最大の原子力施設であるウクライナ南東部のザポリジャー原子力発電所での災害の可能性について、数週間にわたる国際的な警戒を受けたものである。ロシア当局はこの原発を管理しており、1000人以上のウクライナ人労働者が、頻繁な砲撃にもかかわらず、原発の稼働と自国の電力網への接続を維持しようと努めている。

国連の原子監視団は12日、核による惨事を防ぐため、同地域に安全地帯を設けるよう求めた。ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキー大統領は、ロシア軍の撤退を意味するならば、この考えを支持すると述べた。両国は、原発の周囲でロケット弾や重砲を発射していると非難している。
ザルジニー氏は、ロシアが原発を軍事基地として使用することは、「通常戦争であっても」世界の核安全保障を無視する姿勢を示していると指摘した。

ウクライナがEUやNATOに加盟しようとしたことが、2月24日のロシアの侵攻の一因となった。しかし、米国とヨーロッパの同盟国は、ロシアとの直接対決に引きずり込まれるようなウクライナへの軍事支援を断固として拒否している。

戦争初期の数週間で首都の奪取に失敗したロシアは、2014年からロシアの支援を受けた分離主義者が戦っているドンバス地方から、同年ロシアが不法に併合した南部のクリミア半島まで、東から南へつながるウクライナの領土を奪うことに注力してきた。
ウクライナは最近、南部の戦略的港湾都市ヘルソンと、北東部ハリコフ地方の国境沿いのロシア占領地域の奪還を目指して反撃に転じた。
ウクライナ中西部の大部分は無傷だが、ロシアの巡航ミサイルは依然として脅威であり、「無差別に」ウクライナ全土を攻撃しうる、とザルジニー氏は書いている。「現状が続く限り、この戦争は何年も続く可能性がある」。

https://www.washingtonpost.com/world/2022/09/07/ukraine-russia-nuclear-attacks-crimea/