イスラム教で本来禁じられている美容整形にハメネイ師が容認ファトワを出したところ、イラン女性の間で美容整形がブームを超え常識に

イラン指導部容認、美容整形が社会現象に　女性スカーフ義務も「顔は唯一見せられる」（共同通信）
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イスラム教を国教とする中東の大国、イランで美容整形が流行の域を超え、社会現象となっている。本来イスラムでは神から授かった身体に自らメスを入れるのはタブー。ただ最高指導者ハメネイ師も事実上容認し、定着を後押しする形となっている。（共同通信テヘラン支局＝上松亮介）

首都テヘランの街を歩くと一度は目にする鼻をガーゼで覆った女性。北部ラシュト在住のフリーランス、ファフテ・ハサンザデさん（32）も2025年3月、長年コンプレックスだった太くて長い鼻筋の美容整形を受けた。費用は約3億リアル（実勢レートで約7万円）。「自信が湧いた。早く手術すれば良かった」

再三、家族や友人から「なぜ手術しないのか」と言われ、叔母も鼻の手術を受けたことが決め手になった。ハサンザデさんは、女性が公共の場で髪を隠すヘジャブ（スカーフ）をかぶる法的義務を挙げ「顔は唯一、自分を見せられる」と強調した。

地元メディアによると、2024年に施術された美容整形は25万件以上。最も多いのが鼻の手術とされ、交流サイト（SNS）には術前、術後の写真を比較する広告が拡散。最近は、安価な手術費目当ての医療ツーリズムも注目されている。

今でこそ美容整形が定着したイランだが「宗教的観点から許されるのか」（イスラム教に厳格な保守派）との疑問が上がったこともある。2014年にハメネイ師は「重大な身体的影響を引き起こさないなら、禁じられるものではない」とのファトワ（宗教見解）を出した。

社会学者のサジャド・アリザデ氏は、ファトワが美容整形に正当性を与え、増加につながった可能性を指摘。イラン女性が細くて小さな鼻に憧れる点については「グローバル化で、イランにも例外なく美意識の変化がもたらされた」と述べた。

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