お金の為にホモビに出演するノンケが増加 識者「現代の若い男性たちの多くは、同性愛に対する恐怖心や抵抗があまりない」

“ゲイ向けポルノ”を配信するストレート男性「ゲイ・フォー・ペイ」は多様性の推進力？（クーリエ・ジャポン） – Yahoo!ニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/f1a4f24d9bb4f338a5e12f0280f3ab52d839a109

異性愛者が同性愛者を演じ、金銭的報酬を得ることを「ゲイ・フォー・ペイ」という。主に、お金のために同性愛者を対象にした性的なサービスやコンテンツを提供する異性愛者たち、または会社を指すことが多い。

「ゲイ・フォー・ペイ」自体は決して新しい現象ではないが、近年、「オンリーファンズ」のような、コンテンツ提供者とファンを直接つなぐアダルト・ソーシャルサービスが充実したことで、この「ゲイ・フォー・ペイ」に”参入”する異性愛の男性が増えていると、米誌「デイド&コンフューズド」をはじめ、各メディアが報じている。

「オンリーファンズ」はコンテンツ投稿者にポルノ経験の有無を問わないため、未経験の参入者も少なくないようだ。ユーザーは月にだいたい1500円前後の会員費を払えば、インスタグラムでは閲覧できないアダルト向けの画像や映像を視聴することができる。
26歳の男性ライアン・ユールは、以前は軍に属していたが除隊後に、「文無しでいるのに疲れた」ため、オンリーファンズにアダルトコンテンツ提供者として登録したと、「デイド&コンフューズド」に語っている。

彼のオーディエンスの「97％は男性」。つまり、彼が提供しているのは、男性向けのコンテンツで、ユールのように、同性愛（ゲイ）の男性向けのアダルトコンテンツを提供する異性愛（ストレート）の男性が増加傾向にあると、同誌は述べる。

「ゲイ・フォー・ペイ」の間では、筋肉隆々の身体にタトゥーが入った “マッチョな” ビジュアルが主流のようで、コンテンツの中では、ストレートであることは隠さず、むしろ「ストレートの男性の性を過度に強調した」パフォーマンスを行っていという。

ユールには約250人の常連サブスクライバーがいるそうだが、彼の思うところによると、これらの常連を得られたのは「インスタグラムの投稿に注力した結果」とのこと。

現在、彼のアカウントはリニューアルされているが、以前は2万4000人ほどのフォロワーがいたそうだ。フォロワーの87％が男性で、投稿は下着姿など露出の多い写真がメイン。言うまでもなく、コンテンツは同性愛の男性フォロワーを意識して作られいるため、中には「あいつはゲイに違いない」といった彼のセクシュアリティに疑問を投げかけるコメントもあったと、同誌に語っている。

インスタグラムのフォロワーの中には、家族や近しい友人もいたそうだが「特に気にしていない」、誰がなんと言おうと自分は「ストレートだ」と語り、この仕事に対しても、自身のセクシュアリティに対しても「居心地の悪さは一切感じていない」と、述べている。

また、電気工事士としてフルタイムで働くアーロン・マクラウドは、オンリーファンズに参入してから約1週間で205人のサブスクライバーを得たと、同誌に語っている。彼もまたインスタグラムを使って自身のオンリーファンズのページをプロモートし、ファンを増やしたようだ。
マクラウドがオンリーファンズに参入したのは、まだ幼い「子どもたちのためにお金を貯めたかったから」。彼のフォロワーもまた「90％が男性」だと言う。「僕にお金を払ってくれるオーディエンスのためにコンテンツを作ることに喜びを感じている」

同誌は、上述の二人以外にも、お金のためにやっているとはいえ「ゲイっぽい」コンテンツを投稿することにも、同性愛者から性的な視線を向けられることにも「抵抗はない」といった価値観をみせる「ゲイ・フォー・ペイ」のコンテンツ提供者を紹介し、彼らが「ストレートだ、ゲイだ」という価値観に縛られていない様子を報じている。

男性が半裸の自撮り写真を撮ったり、それを人に見せることに対して、「ゲイっぽい」と反応するステレオタイプは今も少なからずあると同誌は述べ、前述の「ゲイ・フォー・ペイ」のストレートの男性たちは、このステレオタイプやジェンダーの規範を破る存在だとしている。そして、彼らの存在は、ストレートの男性の性、いわゆる「有毒な男らしさ」から毒を抜き、スティグマを壊し、多様性をもたらす可能性があるとの解釈をみせている。

一方、英誌「スクリーン・ショット・メディア」は、こういった見解に「本当にそうなのか？」、多様性を生み出すどころか「ホモフォビアとも関連性のある有毒な男らしさをより強固なものにするのではないか」と、疑問を投げかける。

特に、ゲイ・フォー・ペイの男性たちが「ストレートであることが、ゲイ向けのアダルトコンテンツ市場において高いセールスポイントになるのを認識している」点を指摘し、この点を考慮すると、ストレートの男性によるゲイ男性向けのアダルトコンテンツが、有毒な男性性から毒抜きをするというのは「いささか拡大解釈ではないか」と述べる。

ちなみに、なぜ同性愛の男性は、異性愛の男性が出演するアダルトコンテンツを好む傾向があるのかについては、手に入らないからこそ欲しくなる、という心理を同誌は挙げている。他には、背徳感あふれるエ口スというファンタジーも関係しているようだ。

他にも、同誌は前述のようなオンリーファンズのストレートの投稿者たちが、自分たちの行い（ストレートだがゲイセックスを厭わない）は「”タブーを払拭する” とアピールしている」ことに着目し、「これは、彼ら自身が同性愛のセックスをタブーとして見ているからこその態度ではないか」と指摘している。

ジェンダーやセクシュアリティについては、個々の自由を尊重しようという動きが多かれ少なかれ年々強まっている昨今。ゲイセックスを厭わないというストレートの男性が増えていることは事実であり、時代の流れの中で生まれた思いがけない副産物だと、同誌は書く。

しかし、「ゲイ・フォー・ペイ」の彼らを多様性を切り開く推進力として持てはやすのは「誤解を招きかねない」と述べる。特に、彼らストレートのアダルト俳優たちが、無遠慮なまでに異性愛者であることや筋肉質な男性性を強調していることは無視すべきではないとする。なぜなら、そういった行いこそが「結局凝り固まったジェンダー観や同性愛へのタブー視を助長するからだ」と締めくくっている。