お前ら、エスペラント語覚えた方が良いぞ。　世界共通言語だから、これさえ覚えておけば誰とでも話せるぞ

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福島）いわきにあった風船爆弾基地　数少ない証言と物証

風船爆弾と気象――。こんなテーマで気象予報士が福島県いわき市で講演すると聞き、7月下旬に会場に足を運んだ。

　風船爆弾は、米国本土を直接攻撃しようと無人の気球に焼夷（しょうい）弾を搭載した兵器。太平洋戦争で旧陸軍が研究・製造したが、大きな成果はないという程度の認識だった。

　演壇に上がったのは、梛良（なぎら）幸広さん（60）。いわき市教育文化事業団の職員として市民の史跡巡りで、拠点の一つ、勿来基地跡を調査したことがあった。予報士の資格は山好きが高じたという。

　講演では、①気球が米国まで届くのに必要なジェット気流の存在を最初に発見したのは日本人②エスペラント語で書いた論文だったため、世界の注目を浴びなかった、ことなどを指摘した。そのうえで、いわき以北で作戦の秘密保持などをしながら飛ばせる適地はなく、米国に最も近い北海道で飛ばすとソ連（当時）を誤爆する懸念もあったことなどを紹介した。

　意外だったのは、基地の痕跡が全く残っておらず、資料も乏しいことだ。あるのは2008年に基地跡に設置された「風船爆弾基地図」と記された看板だけ。

　江戸東京博物館（東京都）に風船爆弾の復元模型がある。学芸員の松井かおるさんに尋ねてみると、さらに意外なことがわかった。

　「炭疽（たんそ）菌を積んだ疑いがもたれていました」

　細菌兵器の役割も果たしたのか。米国は終戦直後の1945年9月に調査に乗り出しているという。

　一方で旧日本軍は資料を全て廃棄する指示を出していたという。裏付けるような市民の証言もある。終戦直後、気球を放つコンクリートの放球台を壊し、田んぼにするよう指示を受けたという内容だ。

　基地は、いわき市の隣、北茨城市（茨城県）にもあった。戦時中、基地近くを通過する常磐線の水戸―平（現いわき）間の上下線は、軍事機密を理由に客車のブラインドを閉めさせられ、沿線の景色を眺めることができなかった。

　こうした証言は勿来基地跡に近い、いわき市勿来関文学歴史館が2004年に開いた企画展で紹介された。当時調査した酒主真希さん（44）は「漁師は気球が飛んでいる様子を見ても口にしなかった。基地の仕事に関わった人は口止めされ、家族にも基地のことを話さなかった、と聞きます」。

　資料が乏しく、地元の人は戦中も戦後も多くを語らなかったが、それでも証言が得られたのは「記憶を伝える最後の機会と思ったのではないでしょうか」と酒主さんは振り返る。

　梛良さんも記憶の伝承を懸念する。講演の最後に、現在計画中のバイパス道路が、かつての基地の一部を通ることから発掘調査の必要性を強調。「戦跡が残っていないだけに、当時を知る人が亡くなれば後世に伝わらなくなる。今が大事な時期」と訴えた。（長屋護）

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　太平洋上空約1万メートル付近を吹くジェット気流を利用して米本土の直接攻撃を計画。旧陸軍技術研究所で開発された秘密兵器で「ふ」号作戦と呼ばれた。

　風船の直径は約10メートル。手すきの和紙をコンニャクのりで何層も貼り合わせた。軍の施設のほか、日本劇場、東京宝塚劇場、国技館など大きな空間を持つ施設で製造し、学徒勤労動員で集められた女学校の多くの生徒も携わった。

　1944年11月から45年4月にかけ、勿来、大津（茨城県）、一宮（千葉県）の三つの基地から約9千個が打ち上げられた。うち約300個が4日ほどかけて米大陸に到達し、オレゴン州では6人が犠牲になった。